家族会実態調査
平成29年度ひきこもりに関する全国実態アンケート調査の報告
関係者各位
時下益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。当会は、全国組織を有する唯一のひきこもり家族会です。このたび、平成29年度の厚生労働省社会福祉推進事業の助成を受け、ひきこもりの実態、および、長期高年齢化の影響を明らかにすることを目的に調査を実施しました。調査対象は、家族544名、ひきこもり経験者85名でした。
調査手続き
調査アンケートは、ひきこもり本人あるいはひきこもり経験者に回答してもらう「本人用調査」と、家族の中にひきこもり本人あるいはひきこもり経験者を持つ家族に回答してもらう「家族用調査」の2種類から構成された。 アンケートの配布先は、KHJ家族会の支部が平成29年11月~平成30年1月に開催した月例会において配布。また、高年齢化等の要因によって月例会に参加できない人たちも対象とし、会員への会報とともにアンケート調査を封入して郵送した。
ひきこもり状態の定義
本調査・研究事業では、社会的参加(義務教育を含む就学、非常勤職を含む就労、家庭外での交流)などを回避し、概ね家庭にとどまり続けている状態(他者と交わらない形での外出をしてもよい)のことをひきこもり状態と定義した。
主な調査結果
●ひきこもり本人の年齢の推移
ひきこもりご本人の平均年齢は34.4歳となり、昨年度からさらに1歳近い上昇が認められた。一昨年までの4年間は年齢の上昇がみられていなかったが、今年度は昨年度に続いて上昇し、これまでの調査で最高年齢という結果になった。
●家族の年齢の推移
家族の平均年齢は64.5歳。昨年度の調査からやや上昇が認められており、昨年度につづき、これまでの調査で最高年齢を記録した。この結果は、現時点で定年を迎えるご家族が多いだけでなく、今後さらに定年を迎えるご家族、さらには場合によっては介護が必要な家族が増加することが推測される。
●本人の年齢が40歳以上を占める割合について
家族調査では28.8%(544名中157名)、本人調査では31.7%(85名中27名)が40歳以上だった。昨年度は、40歳以上の事例が全体の25%でしたが、今年度は、全体の29.2%が40代以上だった。高年齢化傾向が明らかに示されたと言える。
●40歳を超える高年齢化事例の特徴
本調査では、ご本人の年齢が40歳以上の場合と40歳未満の場合を比較することで、どのような特徴が認められるかを検討した。
・ご本人の年齢
本調査でご回答いただいた40歳以上の事例の平均年齢は、家族調査では全体で約44歳、本人調査では全体で約45歳でした。
・ご本人の性別
40歳未満の事例と40歳以上の事例の場合に、割合の違いはみられなかった。この結果をふまえると、高年齢化する事例に性別の違いはないと推測できる。
・ひきこもり期間
本人調査、家族調査のいずれも、40歳以上の事例の方がひきこもり期間が長いという結果であったが、この傾向は現在ひきこもりの人の方において特に強く、本人調査では40歳以上の現在ひきこもりの方は平均ひきこもり期間が19年以上であることがわかった。また、家族調査では、40歳以上の事例の平均ひきこもり期間が18年近くにおよぶことが示された。
・ひきこもりの程度
家族調査では、40歳以上の場合の方が40歳未満の場合よりも「自由に外出する」と「対人交流が必要でない場所に行く」ことができていることがわかった。この結果は昨年度と同様の結果であり、40歳以上の場合は、外出すること自体はできる人も多いと考えられる。その一方で、本人調査では、いずれも40歳未満と40歳以上で統計的には違いはみられなかった。
・本人の支援・医療機関の利用の割合
家族調査では、40歳未満の場合と40歳以上の場合で違いはみられなかったが、本人調査では、40歳以上の場合の方が支援・医療機関を継続的に利用していることが少なく、利用経験はあるが継続していないこと、および利用経験がないことが多いことがわかった。
・本人の活動状況の割合
家族調査では、40歳未満の事例の方が就労(正社員)の割合がやや高い傾向にあったが、本人調査では、40歳未満の事例の方が就労支援の割合が高い傾向にあった。
さらに詳しい内容につきましては、詳細資料をご覧下さい。(PDF版:13.7MB)
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平成28年度以前の結果はこちらをご覧ください。