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「不登校は大半は親の責任」 滋賀県東近江市長の発言に対して声明文を出しました。


東近江市長 小椋正清殿

声明文

 先般報道されている滋賀県東近江市の小椋正清市長による「不登校の責任の大半は親にある」などという発言は、子どもたちが学校に行けなくなる心情や背景を十分に認識されているとは思えず、公人として不登校の実態を把握しようとすることもなく、ただ家族への誤解や偏見を一方的に煽りかねない無責任な言動であるといえる。

 ひきこもり状態に至る要因には、学校の集団生活で体験したいじめや暴力等によるトラウマの後遺症が起因していることも少なくなく、教室や学校以外で子どもたちが安心して勉強できる環境や居場所づくりが求められているにもかからず、こうした学校内で起きている人権侵害問題を無視して家庭の責任のみに矮小化しようとしている意図も市長の一連の発言からは感じられ、遺憾としか言いようがない。

 親だけに責任を押し付けることは、家庭の雰囲気を悪化させ、結果として本人を追い詰めることになる。不登校の子の学習権の保障と学校外における教育機会の確保を謳った「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」(平成28年12月14日公布)の理念を踏まえ、不登校が起きている本人や家族が抱えている思いに理解を深めることで、共に考えていく姿勢を大切にして欲しい。「十分な議論がされていないことへの問題提起だ」というのであれば、まず市長自身が当事者団体との意見交換の場を作って耳を傾けるべきだと考える。

2023年10月23日
特定非営利活動法人 KHJ全国ひきこもり家族会連合会
共同代表 山本洋見 藤岡清人