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KHJジャーナル「たびだち」105号(2023年初夏号)から、特集座談会「女性の居場所があったから踏み出せた」記事の一部をご紹介!


タイトル

『のまま』は思いを仲間たちが後押ししてくれたモデルケース

ひきこもりは百人百様と言われているように、ひきこもっている女性の年代も背景も生きづらさも多様である。そこには「女性の居場所」があったからこそ一歩を踏み出すことができた人、初めて出せた声がある。それは”ありのまま”が受け止められる場であり、”そのまま”でいいと思える場。抱えているつらさを話す場があるだけで安心できる。本座談会では東京都にある調布女子会『のまま』に参加したみなさんと一緒に、今の思いを自由に語り合ってみた。
構成: 美馬明子 / 上田理香

参加者
りか:KHJ本部事務局・ピアサポーター(司会進行)
ゆかり:調布女子会のまま発起人
マツ:参加者
みち:参加者(『たびだち』編集部 )
A :参加者
CSW :調布市社会福祉協議会 地域福祉コーディネーター


男同士で「あれ行く?」って何?
話題に入りたくても入れない寂しさ

ゆかり 『のまま』は女子会というかたちで始めたのが去年(2022年)の4月から。今回で14回目になりました。
CSW(調布市社会福祉協議会) 「女性自認の会だったら行ってみよう」と勇気を振り絞ってお問い合わせしてくださる方が多いなと思っています。予約不要で、フラッと来ていただける場所です。
りか 女性当事者として、居場所『のまま』の発起人として、女子会を始めてみて思うことはありますか?
ゆかり まだまだ女性限定のところは少ないなっていうのは感じています。だから「こういうところをもっと作りたい」という声を多く聞いたりしています。いろいろな出会いのなかで、NHKの取材が入ってからは、『のまま』を知ってくださる方や参加してくださる方が増えてきました。こうして継続してきたことに意味があったのかなと思っています。
りか 女子会自体、まだまだ少ないという印象ですよね。
ゆかり 参加される方がわりと遠くから来ていただいているので、あまり身近にないのかなって思ったりはします。
りか 女性だけの居場所を求めている方がそれだけ多いってことですね?
ゆかり 男女混合の居場所だと「異性がいると話しづらいな」っていうこともありますね。例えば、男性の方が圧倒的多数の輪に入って話すとなると、ちょっと緊張する自分もいて、安心して話す土台が得にくい。
ふだん「女性だから男性だから」って意識しているつもりはなくても、男性が多い当事者会に行った時に居心地の悪さを感じて、「女子会があったらいいな」っていう気持ちはずっとありました。
みち 私も話題に入れないことがあります。男性が多いと、どうしてもアニメの話とかゲームの話になってしまう。そういう話題は私にはわからないので。
ゆかり 話題というと、男性が「結婚やパートナーを求めています」みたいな話をされたとき、私はどういう立場でここに居たらいいんだろうみたいなことを考えてしまって、居心地の悪さはありました。
マツ 私も他のひきこもり当事者イベントとかで「男性の方が多いな」って思うと、男性の人数を数えてしまいます。思い込みもあるんですけど、仲間外れなところがあるなって。男性同士で「あれ行く?」みたいな。「あれって何だよ?」って聞きたいけど、そのことを聞いちゃいけないのかなとか。私も話題に入りたいけど、入れない。そういう寂しさはあります。
 女性特有の話題に関して、男性がいたら「きっとわからないだろうな」と思います。私は主婦ですけど、「主婦の何とかがさ」っていう話はあまりしづらい。もちろん女性だってシングルの方やいろんな方がいますけど、今、シングルの方だって、いずれ主婦で何かそういう経験をするかもしれないから、女性ならではのいろいろな人生のステージでの話ができるのが、私は女子会に来たい理由ですね。

うんうんとうなずき合える
女性同士のよさはフラットな関係性

りか 女性同士だからこその居心地のよさってありますよね。
ゆかり 女子会の場だと、フラットに聴ける感じですかね。結婚しているしていないとか、子どもがいるいないで状況は違ったりするけど、その人のつらさは、その人の考えや経験から来るものだとフラットに受け止めやすいと思っています。
りか 女子会ってこうやってうなずいて聴いてくれるのがすごく嬉しくて。「なるほどね、うんうん」って。男性と女性を比べたくはないけれど、男性でこうやって「うんうん」って聴いてくれる人って、どれだけいるかってことですよね。
一同 あー。
みち 聴くっていうことに長けているのは、もしかしたら女性の方なのかなって思います。とくに女子会に来ている方は、なおさら一生懸命相手のことを理解し、気持ちを汲もうと努力する。そういう人が集まっているからこそ、話しやすいです。
りか さっきの共感性の高さの話じゃないけれども、女性同士だと、家族会でも母親同士の会もそうですが、「そうだよね」とか、「うちもそうなんですよ」っていうのがたくさん起きている。女子会の安心感、心地よさのひとつなのかな。
マツ 私は、ゆかりさんのまったり話してくださる感じが心地いいですね。
一同 そうそう。
マツ みんなで神代植物公園(調布市内の公園)に行ったとき、すごくよかったなと思いました。
ゆかり イベントで行きましたね。ああいうまったりのんびりするのもいいですよね。
マツ 自然の下って、いいですね。
りか いいですね。屋外居場所も。
ゆかり 最初は自分の話を積極的にしなかったんですけど、「先月からどうでした?」みたいな話を参加者の方から振られて言いやすくなりました。回数を重ねることで関係性がちょっとずつできてきて、自分にとっても居やすい場になってきたなっていうのは感じています。
りか 居やすい場所にするための約束事みたいなものはありますか?
ゆかり 一応どこの会でもやっているようなルールはあります。「ここで聴いた話はこの場限り」とか、みなさんにとって安心できる安全な場のためのルールです。

勝ち負けにこだわっていたら
自分の弱さなんて出せない

のまま

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