事業について
ひきこもり当事者の社会参加を支える枠組み作り
1.本事業の目的
~新たな社会参加の提案「対話集会‘ひきこもり大学’」~
本事業では、家族、当事者、支援者をはじめ、社会参加に興味のある多様な人が集まり、対話をする場を作ります。当事者、親、兄弟姉妹など、様々な立場から「広く開かれた対話集会」を通して、当事者の声に耳を傾け、当事者本人が望む支援のあり方や、本人が主体的に参加できる新しい社会参加のかたちを考えます。特に地方では、ひきこもり本人が出ていける場、人と安心して対話しつながっていく場が非常に少ない現状がある中、「対話の場」への参加そのものが、当事者の「社会参加」につながっていきます。
2.「ひきこもり大学」とは?
ひきこもり大学とは、不登校やひきこもり状態にある/あった人が講師となり、「ひきこもり」体験を通じた見識や知恵、メッセージなどを、関心のある人たちに向けて講義するものです。「空白の期間」などとネガティブに受け止められがちな「ひきこもり」という状態像ですが、当事者ならではの捉え方を共有することを通じて、ひきこもり期間を通じて得たものへの価値を見出し、様々なネガティブな誤解を解いていくことを目的としています。
3.「ひきこもり大学」3つの特徴
1)特徴の1番目は、講師が自ら学部・学科名、テーマを決められる点です。これまでも「生きていたいと思うようになりたい学科」「弱さでつながる学科」「違っていてもいいんだよね学科」などのユニークな名称の講座が次々と作られていきました。講演者が好きな学科名や講座名を名付けることができるのは、ひきこもり大学の特徴の一つです。伝えたい思いの数だけ無限に増えていきます。
2)特徴の2番目は、受講した人は、講師に対する対価を投げ銭で寄付する点です。講師を
務める当事者の交通費などに充ててもらおうというのが趣旨ですので、募金は1コインでも十分です。人前で話をしようという決断をするところから講義に至るまでのすべてのプロセスに価値があることを、「対価」という形で、参加者に見いだしてもらいます。
3)特徴の3番目は、様々な形式で行うことが可能という点です。一般的なセミナー形式、グループトークなど対話の形式などが多く開かれていますが、過去には主催した当事者の創意工夫により、音楽ライブやキャンプファイアーといった様々な形式も取り入れられています。規模も、5名程度の小規模でクローズドな場から、100人を超えるオープンで大規模なイベントの場合もあります。
ひきこもり大学は、いわゆる講演会のような、主催者が企画し、講師を指名し、聞きたい内容の話をさせる一方的な枠組みではありません。あくまでも講師が主体的に発信したりテーマを決めることを前提としています。当事者主体の発信のかたちです。
参考:
ひきこもり大学ホームページ(外部ページ)
対話の場について
フューチャーセッションとは?
困難な問題を解決するために、北欧で始まった対話の場です。
問題の当事者以外の人にも参加を呼びかけて、フラットな関係の中での未来志向の対話が特徴です。
ファシリテーターと呼ばれる進行役が、場の進行を担当します。
常設の場をフューチャーセンターと呼び、常設ではないイベントをフューチャーセッションと呼ぶことがあります。
ひきこもり問題フューチャーセッションとは?
フューチャーセンター・セッションは、街づくりや認知症など多くの解決が困難な問題に取り組んでいますが、
長期化や高年齢化などで打開策が見えにくくなっているひきこもりの問題でも取り組もうと、2012年にフリージャーナリストの池上正樹氏やフォトグラファーの加藤順子氏の呼びかけで、兵庫で当事者活動をしている「NPO法人 グローバル・シップス こうべ」が神戸で開始、その後も京都の支援機関「NPO法人 若者と家族のライフプランを考える会」、東京の有志グループ「庵IORI」等が各地で相次いで開催しています。